MONSTER 4巻『大人になったら面白いマンガ』

 

Monster (4) (ビッグコミックス)

Monster (4) (ビッグコミックス)

 

 

 MONSTER 4巻

  いよいよ、話は佳境に入っていき、犯人の双子の妹、ニナと医者のテンマはヨハンと対決すべく、ヨハンの率いる組織と戦う。この巻は前半のクライマックスともいうべきこれまでの中で最も迫力のある巻になっている。

 

・・・とはいうものの実はこれ、よく読んでみるとドタバタなのである。というと意地の悪い言い方になるが、だいたいヨハンは出てもこない。そもそも『完璧な男、ヨハンが人種差別組織のリーダー?』という感じなのだが、ヨハンの育ての親ともいえるヴォルフ将軍は『連中は彼(ヨハン)をヒトラーにしたてあげようとしているようだが・・・・・・馬鹿な考えだよ。』と話の中でもがっつりと否定されている。これは要するにロクデナシの犯罪組織の暴走を食い止める話なのである。もっとも人種差別の組織、というところにこの話のテーマが入っているところは無視してはいけないが。

 

 そして、一人一人の葛藤や苦労、という最も小さいドラマから爆破計画や銃撃戦という大きなドラマまでを手広く、しかもポイントを1つ1つきっちりとおさえている手腕は、さすがは浦沢直樹、というよりほかにない。

 

ここで全く関係ない作中の名シーン

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 エヴァ様はこうでなくっちゃ・・・いや、いいキャラなんですよ、このおばさん

 

 この話は、前作のルンゲ警部の悲劇に続いて起こる、エヴァの悲劇を描いたエピソードなので3巻と4巻はぜひ続きで買う事をおすすめする。この2人の悲劇は出来事としては自業自得ではあるのだが、全然そういう感じはせず『この生き方しか出来ない人たち』という悲壮な感じがある。

 

本来の名シーンはこちら

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   このセリフがこの話の全てを物語っている。

 

 ここまで来れば読者にもわかってくるエピソードである。自分も相手も同じ人間なのだ、という今までの話にも何度も繰り返され、そして世の中でもくりかえされている永遠のテーマである。