MONSTER 3巻『大人になったら面白いマンガ』
『MONSTER』3巻
この巻から次第にヨハンの過去が明らかになってくる。
意外とホントにありそう・・・
兵士を作り上げるための孤児院があり、そこで育ったがためにヨハンはあのような人間になった(途中、それは否定もされているが)という話になってくるが、この恐るべき『511キンダーハイム』という孤児院で育ったキャラがこの後、たびたび登場してくる。そしてその関係者と主人公の医者、テンマが対決するところがこの巻の見所になっているがややネタバレにもなるので、本編でどうぞ。
ここで作中の名シーン
このシーンはこれまでと同じようにまた、本筋とは全く関係のない話である。しかし、このように関係ないエピソードにこそ話のテーマをからめてドラマにする事で話全体に非常に厚みがでていて、さらにあらゆる立場の人間が登場してくるので、誰にとっても重要な話を語っている、と思えるのである。
ある意味、犯人より理解しがたい男・・・ルンゲ警部
私はこのルンゲ警部が話の中で一番好きなキャラである。話の舞台がドイツということもあり、このマニアック、かつ執念深いキャラが非常に「らしさ」を感じさせ、全体のサスペンスな雰囲気を盛りあげている。上のセリフでもわかるとおり、まさに仕事の鬼であり、そのために奥さんと娘に逃げられるという話がこの巻の興味深いシーンでもある。彼は家庭よりも仕事なのだ。そのために非常に有能ではあるのだが、家庭を失う、というわけである。この主張を、浦沢直樹は(作者)時々している。大ヒットした『20世紀少年でも同じようなエピソードがある。まるで有能であってはいけないかのようなムードすらある。
そもそも犯人のヨハンは『完璧な人間』と表現されている。しかしそれと同時に『完璧な人間なんてつまらんものだ』と言われていたり、妹のニナに至っては『絶対悪』とすら言っている。そしてなぜヨハンはこのような人間になってしまったのか・・・。