『項羽と劉邦』横山光輝のもう1つの傑作

 

項羽と劉邦―若き獅子たち (1) (希望コミックス (199))

項羽と劉邦―若き獅子たち (1) (希望コミックス (199))

 

 

  三国志はすでに有名すぎるので、横山光輝のほかの長編の『項羽と劉邦』を紹介する事にした。

 

 物語は天下を統一した始皇帝の話から始まる。・・・この人、そもそも本筋とはあまり関係はないのだが・・。

 

 キビシい始皇帝

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                          1巻P157

 

  石に『始皇、死して・・』などと書かれていたのが村に落ちていたのを発見して激怒してしまい、こんな過激な行動に走ってしまう。

 

 どうも人というのはこういう傾向があるようだ。いったんエラくなると、ちょっとした事で自分が甘く見られたとか、侮られたと思い込み、加害行為に走っているのに本人は被害者のつもりなのだ。

 

焚書坑儒』という悪名高い事件も始皇帝の仕業である。

法治国家にするために、儒教などで世を治めようとした儒者たちを大量に生き埋めにし、その書物を焼いてしまったのである。

 

   始皇帝は死んだが・・・

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                         1巻P182

 

 自分の健康を保つためにいろいろと怪しげな食べ物や水銀などをとったりしたために、むしろ体が弱っていってしまった始皇帝

 

 何やら現代人にも似たような気がするが・・・。

 

恐るべき悪の宦官(かんがん)趙高(ちょうこう)

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                        1巻・P192 

 

まさに物語の悪役ともいうべき趙高。

彼は始皇帝が死んだのをいいことに、始皇帝の息子の跡継ぎを毒殺に追い込み、自分に敵対する人たちを次々を殺していく・・・・。

 

 大変に不思議な事だが、疑い深い始皇帝はこの趙高のことを強く信頼していたのである。まさに最も信頼してはいけなかった人にかぎって信頼してしまうという皮肉な事実。この趙高のやりたい放題の支配によって暗黒世界のようになってしまう・・・。