『項羽と劉邦』横山光輝のもう1つの傑作
劉邦の家族を人質に取ろうとするべく追う項羽の兵だったが、すんでのところで取り逃がしてしまい、項羽は烈火のごとく怒る。
項羽の怒りをおさめようとした陳平(ちんぺい)だったが・・・
怒ると手が付けられなくなる項羽。
項羽の部下は頑張って戦ったのだが、韓信にはとうていかなわず、引き返してくる。戦ってもムダだと早々に戻ってきたのだが、『せめて戦ってから引き返せ!』と項羽は怒りに火がついてしまう。それをいさめた陳平(ちんぺい)の方にも火の粉がふりそそぎ、別にまちがったことを言ったわけでもないのに、と怒り項羽のもとを去ってしまう・・・。
韓信もそうだったが、こうして項羽のもとから人材が去り、劉邦のもとに集まってくるのである。
なぜか劉邦も独裁者っぽくなってくる・・・
早く項羽と戦いたい、という劉邦に対して、それを止めようとする周りの人たち・・・。いつもならば聞き入れるはずの劉邦なのだが・・・なぜかこっちのほうでも独裁者が・・・。『大王さまがそこまでいうなら・・・』と結局、劉邦の言う通りになってしまう・・。
元帥が韓信から魏豹(ぎほう)へ・・・
大元帥が韓信から魏豹(ぎほう)という男へと変えられてしまう。
何もかもが劉邦の独断によって進められてしまうが、これが後に大変な事になってしまう・・・。項羽の方はいつもこうして墓穴をほっている事を思えば、 こういうところで自制する事がいかに大事な事か。ほとんどこれが勝利のポイントのようにすら見える。