秘密・12巻・清水玲子の最高傑作・ネタバレあり

 

秘密 -トップ・シークレット- 12 (ジェッツコミックス)

秘密 -トップ・シークレット- 12 (ジェッツコミックス)

 

 

  正直、今回の話を語ると全てがネタバレになってしまうのだが、まあこの話は複雑すぎるのでたぶん解説くらいついていないと混乱したままになるだろう人たちも多いと思うので・・・・といういいわけです。

 

 データの中身とは・・・・

 

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P26

 

 

 中身はある少年の脳の画像だった。

殺されているのはチメンザール軍の反政府リーダーの男であり、その場にいた一族もろともチメンザール軍にみな殺しにされてしまう。

 

一番最初の伏線の真相

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P38

 

 

 いつ殺されるかわからない逃亡生活の果てに彼は・・・・。日本に脳を見る捜査方法があると知り、自ら『猟奇事件』の犯人となり、自分の脳を見られる事によって真相を世界に知らせようとしたのである。

 

 人肉食事件は、猟奇殺人事件ではなく誰にも言えない秘密を抱えた少年の苦肉の策だった・・・。

 

青木くんの姉が殺された事件の真相

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P41

 

  全くのまきぞえで殺されてしまった、青木くんの姉夫婦。

『薪さんのせいじゃない、おまえのせいじゃない、誰のせいでもない』と今井先輩に言われて、青木くんは「わかっています」と答えるが・・・。いや、チメンザール軍のせいだろ、と私は思うが・・。

 

黒幕は中国?!

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P46

 

 薪の情報公開の行動は世間ではむしろ賞賛される形になった。

警察は、薪を昇進も左遷もできず、アメリカにあるMRIを研究している組織に異動させる。 

 

そして別れの時がやってくる

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P171

 

 

 青木くんやほかの捜査員たちと別れ、薪は一人アメリカへ向かう。

このシーンは、青木くんがそんな薪に会うためにアメリカに行き、これからも薪といっしょに仕事ができたら、と未練がましく思うシーンである。私もこのシーンを読みながら『ああ〜本当にこの2人、別れちゃうんだなー』と未練がましく思ったものだ。 

 

最後の最後まで秀逸の出来

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P184

 

 

  大変に切ないラストシーンになっている。

写真に写っている女の子は唯一生き残った姉の子である。そして青木くんは結局、雪子さんとよりはもどさない。

 

  このラストで薪は以前に、息子の復讐をとげるために殺人を犯した95歳の老婆を思い出す。家族もすでに亡く、『今の私に失うものがまだありますか?』と言う老婆に当時の薪はかける言葉が見つからなかった。

 

 しかしこの写真を見ながら薪は小さく『ウィ(ええ)』と言う。

95歳であろうとも生きているかぎり、守るべきもの、大切なもの、幸せなもの、失いたくないものがあるのだと。人間である限りお腹が減るようにそれは自然と。

たとえ欲しくなくてもできてしまう、と。

 

 だからこそ人に知られたくない、秘密も、また出来てしまう。

人間の終わる事のない幸せと悲しみに思いを馳せながら、この話は幕を閉じる。