秘密・2巻・清水玲子の最高傑作・ネタバレあり
私はこの『秘密』という話を短編(1巻に収録されている)で発表された時は知っていた。
だから長編になって復活したとき少しガッカリした。短編の出来が良かったためにきっと長編はそれをひきのばしたようなものだと邪推したからだ。だからネットカフェで読もうと思ったのだ。
しかし!いざフタをあけてみると、このレベルの高さ!最初の短編に劣る話は1つもないどころかどれも最初の短編よりは面白く、どの話もハズレがない。
今回の2巻もかなりの出来である。2巻には2話収録されているが、2つも紹介できないので、後半の方をどうぞ。(前半の話も面白い。)
すべてはここから始まった
P128
今回の犯人の脳は青木くんが見ることになった。
なぜならカンタンな事件の『はず』だったからである。犯人も確定、自供もとれて、死刑執行されて全ては終わり、青木くんは犯人の脳を見てそれを確認すればいいだけの予定だったのだが・・・。
真犯人は別にいた!
P148
何と脳をうつす画像に現れた犯人は全くの別人だった。
本当の犯人は、犯人の娘だったのである。しかし事件は終了してしまっている。まるでそれを見計らったかのように、娘の絹子(きぬこ)は『今まで記憶喪失だった』と言って姿をあらわすのである・・・。『この事件で再び絹子を逮捕はできない』と薪(まき)は言う。世間的には絹子は被害者の1人にすぎなかった。
父親は娘の絹子をかばって自ら犯人のふりをしていた
P198
男を次々と誘惑しては次々と殺していく絹子・・・・。
そして死体を埋めた場所から生えてきた百合の花を少年に見せて笑う・・・まさに悪魔のような女として描かれている。青木くんにも「あんたにできることと言ったらせいぜい死体の脳みそを見てくやしがることだけよ!」と言い放つ。なぜそんな女になってしまったのかは・・・それは最大のネタバレになるため、ここではふせておくが。
絹子を逮捕する事はもはや不可能と思われたがしかし!青木くんは何と打開策を見いだす!
そして見事、絹子逮捕までもっていくことができるのだ。
クライマックスは本編でどうぞ。